俺が大人になった冬
雲を気にしたのも、何年ぶりだろう。

子供のころはよくこうやって空を見上げては、雲の形で色々な想像していた。

彼女といると、なんだか空気が穏やかに感じられる。

「食べ終わったら、少し散歩しましょうか」

「うん」

食後、2人でのんびり海岸を歩きながら、俺はなんとなく彼女の手を握った。

彼女は一瞬驚いた顔をしたけれど、ちょっと照れながらも俺と手を繋いでくれた。

ふっと沸いて出たこの想いは「好き」とは違う気がするけれど、彼女といるとホッとする。

一方で、金もらって女と寝るようなことを平気でしているクセに、彼女といればとても純粋な気持ちになれるようなそんな気がしていた。

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