俺が大人になった冬
「どうした?」

ヒサとは昔から特に波長が合い、お互い色々な話をしてきた。

人妻女に手を出し続けていることも、ヒサだけは知っている。

「あ、ごめん。ちょっと色々あってさ」

「なに!? とうとう修羅場か!?」

「お前、絶対面白がってんだろ! 残念ながらそんなんじゃねぇよ」

俺がケタケタと笑ってそう言うと、ヒサは急にまじめな声で

「ゲンさ……なんか悩んでんならいつでも話聞くからな」

と言って、俺の肩をポンと叩いた。

「なんだよ急に」

正直、ヒサの言葉は嬉しかった。

でも、なんだか照れ臭くて素直にありがとうとは言えなかった。

「あ! お前バイトしてたよな? お前のトコで短期のバイト、募集してねぇ?」
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