色、色々[短編集]

「マジで?」


私がトイレで呟いたセリフを今度は達也が口にした。

なんとか終電に間に合い、達也の家に着いて開口一番の報告。瞬きすらわすれたかのように、目を見開き口を開けた達也の顔に、なぜか憤りを感じる。


「マジで」

「あーそっかー。んじゃ、結婚するか」

「……うん」


当然の流れだった。

私の返事に、一気にパパモードになった達也に呆れながら、私もそんな彼を見てると嬉しくなってきて、これはこれでよかったかな、と、思った。

トントン拍子ですすんだ婚約、結婚。

元々両親に急かされたこともあって、"出来ちゃった結婚"でも何ら問題なく祝福された。
妊娠したこともあって、式は親族のみで行い、披露宴なく、二次会だけさくっと済ませ、急いで引っ越し。

十月十日。
生まれてきたのは可愛い男の子。

仕事を辞めたくなかった私は出産ギリギリまで仕事して、産休をもらい、生まれて三ヶ月で復帰したのは、半年も前のこと。

契約社員だった達也にも、たくさん助けてもらっている。それなりに。
……うん。助かっているのは間違いない。


「いってきますー」

「行ってらっしゃいー」


バタバタと会社に向かう私に、達也が前に一歳前のかわいい我が子、隆平をだっこして玄関でにこにこと手を振ってくる。
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