逆らえない
大会が近い。

練習がハードになるのも仕方がないと言えるが、それにしても今日の練習は確かに八つ当たりじみていた。

コーチは多分、何か嫌な事があったのだろう。

陰険な性格で、部員達によくその皺寄せが来る。

水泳部では有名な話だった。

「なんっで俺らが八つ当たりされにゃならんのだ!」

スチール製のロッカーを派手に蹴飛ばす日比野。

「おいおい、備品壊すなよ。またコーチがネチネチいびってくるぜ」

苦笑いする瀬野。

「そうそう」

畠山も笑う。

「ストレス発散なら別の方法があるだろ?」
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