マイスィートアフタヌーン
「いいえ、苦労と言うほどそれほどのことは……。座って下さい。僕も座りますので」


さぁ、ともう一度促して、やっと戻っていただいた。

母親に探されている息子だという、事実から想像していたような弱々しさは感じられず、むしろ生真面目そうな瞳には強さがあった。

それが母親と良く似ていることを、今は皮肉と見るべきか。


 そんな彼の様子を頬杖をつき、隣の女性はおもしろそうに見ていた。

彼女とは面識がある。ポーリィ・ルービン。

幼友達とは良く似るものだと、抱いた印象まで、フレディは思い出した。


含み笑いはそのままに視線を移し、澄ました声で言う。


「遅かったわね、メアリーアン。モップを持って迎えに行かなくてはならないのかと思ったわ」
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