マイスィートアフタヌーン
「明日は見送りに行くわね。今夜は安心してゆっくり休むと良いわ」

 彼が思い切りを見せたのは、別れ際、馬車の前で彼女がそう言ったときだった。手は拳に握られている。


「ポーリィ」

「時間は大丈夫よ。二時だったわよね」


「君の、美術教育論を素晴らしいと思ったよ。生徒を救い導くための、新しい方法だと思う」

「ありがとう、ミスター。あなたが話のわかる人だってことは、あの頃から私は知ってたわよ」

ポーリィは笑った。


――記憶に残したい笑顔だった。
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