マイスィートアフタヌーン
けれどミス・シモンズ。ただの市民のためなら開かれる扉も、彼女の肩書き・職業を思えば堅く閉ざされてしまいそうだ。


口さがない同僚はかの職業をこうも呼ぶ。探り屋。

想像すればだいたい当たる、フリート街に根城を構えた記者連中はどう呼ばれても構わぬものだ。

そして事件が起これば追いかける彼らと、捜査上の情報は決して漏らさぬ警官の間には、ある種の緊張が張られている。


はずなのだがしかし、紅一点とまではいかないまでも珍しいものではある女性であることに重ね、独特の懐っこい雰囲気を以ってして、彼女はここにまで到達することが自然なのだろう。

やってのけるといった労は窺えない。なんとはなしに紛れ込むタイプであるのだ。
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