きみに守られて
「行こう?」
そう言った優里は、
吸いこまれてしまいそうな
美しい笑顔だった。
少年のころ自転車を必死にこぎ、
賽銭箱を荒しに行った
山の中の神社、
あの日のあの時の、
黒が多い紫色をした山側へ、
夕陽とは逆方向へ、
優里は行こうと言う。
息詰まりそうに迷うユリツキ。
優里はただ、
同意を求めているような
人懐こいキョロっとした瞳と
艶やかな微笑でそこにいた。
ユリツキは思う。
一から十まで、
一から百まで、
彼女に笑顔で居てもらいたいと思う。
自分自身が望む、
自分だけの千日の穏やかな目覚めよりも、
九百九十九分の一回に曇る顔が
彼女にあるとするならば、
その一回に自分の千日を捧げようと思う。
心の中にある、己が作った恐怖など、
恐れることはないのだ。
「しょうがねぇな~行くかぁ~」