同居以上、同棲未満。
久しぶりに、2人で昼休みに外食…ついこの間までは並木道の桜が綺麗だったけど、そろそろ毛虫を心配しなきゃいけない季節かも。。



なんて思ってる私の手に、祐樹の手が触れる。



優しい、柔らかい手。



ぎゅっと握ったら、ちょっとビックリした顔をしてから、祐樹はふんわりとした笑顔になる。



「あのさ…」



「ん?」



坂道を下りながら、祐樹は前を向いたまま私に話しかける。



「俺、ほんとに利奈のことが好きだから」



「え?な、なにそれ…当たり前じゃん…わ、私も好きだもん」



「いきなりごめん…でも…なんか…利奈が遠くにいっちゃう気がして…」



「行かないよ、どこにも!そりゃ引越しはしたけどさ、でも前のアパートと比べて祐樹ん家から10分くらいしか変わんないじゃん?」



「そーゆー問題??」



「そーゆー問題でしょ?」



あは、と言って祐樹が笑った。良かった、祐樹にはいつも笑っててほしい。祐樹の悲しい顔なんか見たくない。



大切な幼なじみだから…







でも、思うんだ。



すでにこのとき、私たちの関係は変わり始めてたのかもしれないって。







「お!走ろーぜ、昼ごはんゆっくり食べたいっしょ?」



「えーーーーーー?」



「ほらほら、早く!」



笑いながら走り出す祐樹を、この時のあたしは一生懸命追いかけた。
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