黒王子と銀の姫
18.思い
真紅のバラ。

ローズという可憐な名と、燃えるような赤い髪を持つ十六歳の姫君は、幼い頃からそう呼ばれてきたという。

婚儀で花嫁が身に着けた衣装は、列席者の度肝を抜く豪華さだったというが、ユーリは何も見ていない。

加えて言えば、無表情な第四王子が、晴れやかな席でどんな顔をしていたのかも、見当がつかない。

つまりは実感がわかなかったわけだが、華やかなドレスを身にまとい、長い髪を美しく結い上げた姫君が、何人もの侍女を引き連れて乗り込んでくると、さすがに意識せずにはいられなくなってきた。
< 96 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop