恋の敵



「それよりさぁ、敵ってなんやろ?恐い人が敵になったら嫌やなぁ」


星座占いというのは、どうしてこうも当たるんだろう。


今まで馬鹿にしていたが、この前のことといい、今日のことといい……。


俺はこいつに振り回されてばっかりだ。


「なぁ、敵って誰やろ?」


真剣な顔で悩んでいるこいつは、幸せ者だ。


こっちの気にもなってみろ。


「なぁ、坂上は敵おるん?」


大きな目で見上げてくるあいつは、本当に鈍感だと思う。


「強敵が現れたわ、さっき」


「えっ?強敵!?」


俺の言葉の意味を理解できるほど、こいつは賢くない。


「あぁ、かなりの強敵や」


俺の気持ちが伝わるのは、もっと先のことになりそうだ。



















end
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop