幾千の夜を越え
11st終幕
この暫くの間会えなかったのは、避けられているわけじゃなくて…体調が悪かったのか?

震えてるし心拍数も速い。

「葵!」

半ば強引に押し倒す格好で
覆い被さる俺から

「まっ待って!」

無理矢理起き上がろうともがく

「駄目だ待てねぇ!」

その葵の肩を押さえ込む。

「慎ちゃん…お願い…」

帰らされるとでも思ってるのか、泣きそうな顔で見上げる葵の

「…帰さねぇよ」

額に唇を押し当てる。

それでも不安そうな葵に
頬や耳に何度も押し当てた。

口を避けるのは唇を割りたくなるから…。

これから寝かしつけようとするには葵にも俺的にも刺激が強い。

「慎ちゃん…」

「ん?」

脇に付いた手と間にある身体と…覆い被さったままの体勢はキツイ

「お願い…これ…」

葵がポケットの中を探ってる時


メールが受信を告げ携帯を開く、

From 茜
sub 右近様
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
要らぬ世話かと存じましたが、
この数日でいろはをお教え致しておきました。
本日は私の精選では御座いますが持参させましたので是非ご使用をお願い申し上げます。
羞恥の念から誓願出来ぬことも考えられますので左ポケットをご覧ください。
_________

何だこれ?
左のポケット…

指示されたままに左のポケットをまさぐる。

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