最後の恋
「それは、俺の役目ですよ。」

後ろから声がして振り返ると、花婿さんの長谷君が・・・。

「ふふっ。浅姫のこと心配で見に来たの?」

ちょっとからかってみる。

「そうです・・・。」

照れながらでも、本音を隠さない男。

こんな男、なかなかいない・・・。

「では、30分したら、お着替えが始まりますが、それまでごゆっくり~」

浅姫のことが大好きで、たまらない男。

今、二人きりにするのはまずい?

そう思ったけど、とりあえず、時間を決めとけば・・・・。

「ふふ」

あまりにも、かわいい二人に思わず笑みがこぼれる。




今日の二人の式は、人前式。

でも、ただの人前式ではない・・・。

今日は、このホテル初、ロビーでの公開人前式なのだ。

そもそも、こうなったのは、浅姫のことを娘のようにかわいがっている営業部長の提案だった。

もともと、浅姫は式はする気はなくて、籍だけ入れればそれでいいと言っていた。

でも、浅姫のお母さん代わりの叔母さんや、長谷君が花嫁姿を見たいと言ったらしく、身内でこっそりしようということになった。

でも、ホテル関係者の二人が、よそのホテルで出来るはずもなく・・・。

ウチのホテルで、比較的空いている時にしようと言うことになった。

でも、営業部長が浅姫らしい式をさせてあげたいといって、こういう形になった。

公開なのは、ホテルの従業員もお祝いできるように。

そして、より多くの人からのおめでとうを浅姫に送りたいから。













< 94 / 97 >

この作品をシェア

pagetop