Sweet☆プリンセス

Love Story.

「いっくん、映画見よ?」


なんて、タイミングが悪いやつ。 ドアからひょっこり顔を覗かせて俺を見てくるし……。

あーあ、もう最悪だ。 次にまおが言いそうな事が分かるのは、アイツの顔がメチャクチャ緩んでいるのが原因だ。


「そのTシャツ、着てたんだ」


「あー、まあな。 たまにだけど」


このTシャツは前に…… まおと学校帰りに電車が来るまで駅ビルで時間を潰していた時に見つけたやつ。


まおが“いっくん、似合う!”って言ってきたし、バイト代も入って財布のヒモが緩んでいた時に買ったんだ。 まおが選んでくれたやつだから今までもったいなくて着れなかったんだよな。


でも、せっかくまおが泊まりに来た今日。 新品はこれしかなかったからこれを卸しただけ。


「やっぱり似合うね」


「どーも」


母さんにはバレたくなかったから今まで隠していたのに、簡単にばれちまった。 こりゃ、今度色々聞かれるんだろうな。

覚悟しとこ。


「“映画”ってDVDか? だったら持ってこい。 リビングでしかデッキが無いから」


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