未来のない優しさ
「ううん…。
信じたら良かった…。
健吾の気持ち疑わなかったら…。
健吾だって、もっと楽な幸せな人生送ってた」

「…」

重くならないように明るく言うけど…涙声になってしまって…恥ずかしい…。

ちゃんと健吾に謝ったのは初めてかもしれない。
遠慮がちな私の態度から察してくれていたと思うけど…。

あの事故に巻き込まれたことで変えてしまった健吾の人生をどうすれば償えるのか。

あの時、健吾を信じて笑って見送っていれば。

いずれ私と別れる運命が待っていたにしても、健吾が自ら選びとった人生を送っていたと思う。

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