未来のない優しさ

｢一緒にタクシー拾って帰る？｣

資料を片付けながら声をかけると、

｢いいですよ。そのまま俺の部屋に寄りませんか？｣

悪戯っ子のような目で孝太郎は私を見つめる。

社内での人気もなかなかの顔を向けられて、こないだ華穂に気持ちをぶつけていた姿と重なって…
妙に照れ臭い。

｢孝太郎の部屋…？｣

｢あ…健吾さんが気にするなら一緒に｣

｢…どうしたの、突然｣

孝太郎の部屋にはこれまで行った事がなくて、思いがけない招待に驚いてしまう。
手際よく机の上を整理しながら、ほんの少し照れて

｢華穂さんが来てるんです｣

周りを気にしながらの言葉に、更に驚いてしまう。

｢えっ…。
孝太郎と華穂…付き合ってるの…？｣