未来のない優しさ
意外にも神妙な面持ちで中の様子を見回して、真田さんの言葉に耳を傾ける健吾の腕に手を置くと、向けられた視線があまりにも穏やかで。

「…決定なの?」

問いかける私の言葉も語尾が小さくなってしまった。

「ん…?ここじゃまずいか…?」

真田さんの手前、気にしながら言われるけど

「そうじゃなくて。
…まあ、いきなり連れて来られてびっくりはしたけど。

健吾はチャペルじゃなくて神式で白無垢がいいの?

私、何も聞かれてないんだけど」

責めるつもりじゃないけれど、夕べ突然ホテルに連れて来られてからずっと、健吾のペースで右往左往している私の気持ちは戸惑うばかり。

いつもより、強気に話しても仕方ない…。

じっと健吾を見つめて返事を待ってると、

「俺は…チャペルでもいいんだ。
こだわりはないからな。

柚と結婚できるならそれいいんだ」

「じゃあ…なんでチャペルの見学は行かなくて、
ウエディングドレスの試着はしないの?」

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