赤い蝶々
彼が泣いていた女に言う。
『俺、お前と…』

女は続きを聞く勇気がないのか、店を飛び出してしまった。
彼に追いかけたらと言い、私は勘定を済ませ女が忘れたハンカチを会社に届けた。
ランチタイムも終りに近付いているせいか沢山の人がいた。

私はそれでもお構い無しに言った。
『不倫している○籐さんの忘れ物です。
渡して下さい。』

周りは一気に静まる。

私はルンルンで車に乗り込み名古屋へ向かった。

彼が悪いと思う半面自分が悪いと責め、破壊された気持ちが悲しい辛いと繋がらなかった。

この頃から泣かなくなりました。
泣いても感情のコントロールができないし泣いても意味がない
と判断していたんです。

彼は相変わらず連絡してきました。
それでも情があった私は彼に呼び出され会いました。
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