ジュリエットに愛の花束を。

溢れた不安



「瑞希、遅ーい! コロッケパン買うのにどんだけかかって……あーっ!!」


あたしを見るなり騒がしくなった皐に、パンを渡しながらベンチに座る。

隣に座ったあたしを、皐が指差してにやにやと笑い出した。


「……気持ち悪いよ、皐」

「だって、こぉんなあからさまにさー……。

もー、校内プレイは興奮した?」

「は?」

「椎名先輩ってば、クールそうな顔して激しいんだねー。熱い男っていいよねー」

「……」


横でくねくねして妄想の世界に飛んでる皐を冷ややかに見てから、ハッとしてバックの中から手鏡を取り出す。

迷わず見た首筋に、濃いキスマークが2つ。

それを見て愕然としたあたしは、頭を抱えてうなだれる。


こんなのつけたまま廊下歩いてたなんて……。

恥ずかしくてもう校内歩きたくない。

っていうか、いつもは見えるところにはつけないのに……。


いやがらせ?



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