ジュリエットに愛の花束を。


……じゃあ。

自分で短所探しするのが嫌なら、他の誰かに見つけてもらうしかないけど……。

誰に?

皐、お兄ちゃん、里香さん、ついでに松永。

色々と考えるも、誰もピンとこない。


樹は、絶対にあたしを甘やかすに決まってるし。


「……あ、」


顔を歪めながら考え込んでいたあたしの頭に、ある人物が浮かんでピンと音がした。

そして、その直感をそのままに、勢いでケータイを取り出して電話する。

あの時借りたハンカチは持ち合わせていないけど、そこは仕方ない。


――プルルル、――プルルル……


呼び出しされるコールを聞きながら、寒空を眺めた。



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