ジュリエットに愛の花束を。


『んー……あんま落ち着かねぇけどな。

なんか騒がしい奴がいないから、やけに部屋が静かで変な感じだし』


出窓になっている枠の部分に座って、澄んだ空を眺める。


星空のせいで、樹の低い声が、余計に甘さを含んで聞こえる。


「どうせ騒がしいもん」

『本当だよ。おまえみたいに騒がしくて口の減らない奴、俺他に知らないし』

「一部の情報によると、口から先に生まれたらしいからね」


あたしの言葉に、樹が笑う。


電話越しの樹の笑い声は……なんだか、やけにじれったい。

いつもなら、樹の部屋で、身体のどこかしらがくっつく距離にいるのに。


『あー……』


急にため息みたいな声で言うから、あたしは首を傾げる。


「なに?」

『んー……瑞希ってさ、口ではほぼ100%可愛げない事しか言わないのに、行動は素直だからさ。

一緒にいると、必ず俺にくっついてきてただろ?

ソファに座ってるときは、必ず背中を俺に向けて寄りかかってるし、寝るときだって腕絡めるし。

……こう言ってるとバカップルみたいなのに、なんでベタベタって言葉が似合わねぇんだろ、俺達』

「……さぁ」



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