ジュリエットに愛の花束を。


「なんだよ、いきなり」

「捻挫した場所は? 痛むんでしょ?

あんな寒い場所にずっと立ちっぱなしだったし、ひどくなったりしてない?」


違和感があるからって部活を休んだのに……。

あんな場所に立ちっぱなし状態じゃ、足にはきっとよくない。

冷えちゃうし……っていうか、捻挫って冷やせばいいんだっけ? 

それとも慢性的な感じだから暖める方が効果的?


心配するあたしに、樹が優しく微笑む。

そして、樹の足首に触れていたあたしの手を握りしめた。


「大丈夫。ありがとな」


樹があたしの手の甲に唇で触れる。

それだけで、2人の間にある空気が色を変える。

少しの緊張と、過度の甘さが混ざり合う。


久しぶりの樹の部屋に、久しぶりの甘い雰囲気。

樹のキスが手に落ちただけで、心臓が騒がしく動き出す。


あたしをじっと見つめていた樹が、少し言いにくそうな仕草を見せてから口を開いた。


「瑞希」

「……なに?」

「触ってもいい……?」



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