ジュリエットに愛の花束を。


『とりあえず、明日からは駅で待ってるな。

電車の時間分かったら教えて。俺も時間合わせて家出るから』

「うん」

『松永の事は、男って事以外の情報は頭に入れないようにな』

「あ、プリンは?」

『……捨てる』

「えー、もったいないよ。幻の限定プリンなのに」

『じゃあ……捨てる。絶対捨てる』


結局捨てるって言い張る樹に、ぶーぶー文句を言いつつも電話を切った。


そして、出窓のカーテンを閉めてからベッドに仰向けになる。

いつもは……手を伸ばせば樹に触れられるのに。

一人のベッドが、シングルなのに広く感じる。


樹と出会って二年間。

色々ありながらも仲良くやってきたのに。

同じ大学にも受かって、半同棲みたいな生活をして。

その生活が気に入ってたのに。


「……なんで邪魔するんだろ」


お兄ちゃんの突然の帰省の謎解きをしながら、眠りについた。


夕方、樹がここで寝たりするから、ベッドから樹の香りがして……胸が苦しかった。






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