恋に恋した5秒前





『GO!GO!MISHIMA!LET'SGOLET'SGOREーNっ』



「…お。今度はお前のこと応援してんじゃん」

「そうみたいっすね」


休憩が終わり、また練習が始まった頃。
彼女たちのワントーン高い声が、体育館の外で聞こえた。



「れんちゃん、好きなコ誰かなー」

「…なんで僕に聞くんすか」

「いやあ?お前ら仲いいじゃん、なんかいい感じじゃん」

「そうですかねえ」


…ハチさんは正直人のこういう噂が大好きで、話を聞いていると少し疲れるときがある。

まあ先輩なもんだから、口が裂けても言えないんだけれど。


だけどバスケは天下一品で、僕の尊敬する先輩の一人だ。



「ま、かわゆい後輩がチアやってくれるとなると、燃えるね」

そうハチさんは指をポキポキ鳴らす。

僕はちょいとハチさんに質問。


「あの中に誰か好きな人でもいるんですか」


「…あ、バレた?」



バレバレです。





< 68 / 152 >

この作品をシェア

pagetop