【禁断の恋】赤い嘘【完】
その後姿からいつものような強さは一切感じられない。


それどころか何故か弱々しくて。


「星矢……泣いてるの?」

星矢の背中が小刻みに震えているように思えた。


「泣いてねぇよ。早く出て行け」


普段と変わらぬ口調なのにその声は擦れていて。


「……分かった」


堪らなくなった私はそのまま化学室を飛び出した。
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