【禁断の恋】赤い嘘【完】
「盗み聞きなんていい趣味してんだな?」


恐る恐る後ろを振り返ると、鬼のような形相の星矢が私の視界に飛び込んできた。


「別に盗み聞きするつもりじゃ……」


『姫華が好き』


そう言っていた星矢の顔を正面から直視できず、私は目を反らした。


「あっそ。つーかさっきの冗談だから。あの女しつこくてさ。たまにお前の名前使わせてもらってるから。……間に受けんじゃねぇよ」


最後に『バーカ』と付け足すと、星矢は私達の横を涼しい顔で通り過ぎた。
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