フタリの事情。
廊下を歩きながら一人百面相してる俺は、ハッキリ言って超挙動不審だ。

自覚してるくらいだから、相当だよ。


ワタルが見てたら、一週間はこれをネタにからかわれっかも。




なんてリアルな想像しながら向かった先は、放課後の図書室。

ここで、あいつと待ち合わせしてるんだ。



音をたてないように静かに戸を引いて、見渡すと、


……あ、いた。



窓際の席にちょこんと座ってる、小さな影。

俺の好きな、肩までのストレートが、窓から吹いた風にサラサラ揺れてる。



前に、あの髪に触ったことあんだけど。


すっげー柔らかくて、すっげー驚いたんだ。

今でも、その感触は手によく覚えてる。



俺の髪とは質が違うっての?

なんか、糸みたいに細くてさ、しなやかっていうか。


女の子の髪、って感じだった……



て、何考えてんだ俺。

ついに変態じゃん……



「……あれ、てっちゃん?」

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