フタリの事情。
まだ半信半疑だけど……


半ば混乱中の俺の思考回路を、俺よりも正確に把握してるだろうワタルは、少し苦笑気味に言った。


「分け隔てなくみんなに優しいのは、テツタのいいトコだと思うよ。
誰にでもできることじゃないし、さ」


でも、と付け足して、


「時には、特別扱いも大事。
幼馴染ちゃんが好きなら、それが伝わるように幼馴染ちゃんだけが特別だってアピールしなきゃ」


「りぃだけ、に……?」


それって、どうやって?



なんて、答えを求めようとしたけれど、


キーン...コーン...カーン...コーン...


鐘の音に邪魔されて、昼休みはあっけなく終了。

ワタルへの相談タイムは、俺に宿題を残したまま、幕を閉じた。






“りぃが好きなら、りぃだけを特別扱いする”


授業中その意味をずっと考えて、言葉のまま受け止めてた俺は、なんだ簡単じゃんか、とか思ったんだけど。

現実は、そう上手くいくはずもない。



好きだからこそ、それを実行するのは難しいんだって。

俺はこの時、まだ気づいてなかったんだ。

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