フタリの事情。
思いがけないアツ兄の良案。


素直に聞いとこうかな。

……って思ったのに、


「雨降ってるからさ、相合傘でもしたら?
寄り添いあう高校生カップル……
なんか青春、って感じじゃん」


「は、はぁぁ!?
なっ、何が相合傘だよっ!
大体俺ら、カップルじゃねーし!!」


真剣に言い返した俺を見て、ゲラゲラ笑ってるアツ兄。


くっそぉぉ、またやられた!

すぐこうやって俺をからかおうとするの、アツ兄の悪いクセだ。



「えぇ――っ!!
お前まだりいちゃんに告ってなかったのー!?」


部屋に響き渡るような声で大げさに騒いだのは、二番目の兄ちゃん、タツキ兄。

大学生活を満喫してる、ハタチの自由人。


タツ兄、いつの間にリビングにいたんだよ?

冷蔵庫から出したのか、ちゃっかり手に牛乳パックなんか持ってるし。



「何やってんだか~
それでも俺の弟?同じ血流れてる?」


「タツ兄と一緒にすんなー!
タツ兄のは節操ないって言うの!」


いつもいつも違う女の人ばかり連れてきて。

いい加減その乱れた女性関係、どうにかした方がいいぞ?

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