彼岸花の咲く頃に
冬城町
冬城(とうじょう)町。

国道を車で山に向かって登って登って、登って登って、うんざりするほど登った先にある田舎町。

どのくらい田舎かっていうと、町の中に信号が一つだけ。

しかも夜の八時以降にはその信号も黄色の点滅になる。

民家は数えるほど点在しているだけ。

買い物と言えば、同じく夜の八時には閉店する、みすぼらしいスーパーだけだった。

俺はそのスーパーで店員を務めている。


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