丸腰デパート・イケメン保安課
「もう!みんなでどこに行ってたの?」
貢さんは脹れているらしく、鍋の蓋をお玉で叩いてる。

床下から出てきた事は聞いてこないのか?
そっちの方が不思議だと思うけど?


「………う〜ん」


小さな唸り声に、床に視線を落とした。

あ…主任がまだ倒れたままだった。
気付かなかった。

そういえば、主任は私達三人の下敷きになったんだったね。


「主任?大丈夫?」

私は、うつぶせに倒れたままの主任の背中に手を添えた。
多分、大丈夫だとは思うんだけど…。


「主任?」
「…綾美〜…俺、鼻血出たかも…」
どこか打ったの?
「鼻血?」
「うん…綾美ちょっと見て〜」

甘えた声で顔を上げる主任。
鼻血なんて、主任にとっては何て事も〜……。


「…………え」


顔を上げた主任に、一瞬、みんなの動きが停止した…。


「マジ?」
「これは一体…」
「えっ?!主任!それどうしたの?」
貢さんなんか、大きな瞳を更に大きくしてる。

「何だ?みんなどうした?」
不思議顔の主任……。
どうしたと言われても…逆に私が聞きたい…。


「綾美?鼻血出てるか?」
「え…と…」
鼻血は出てないけど。

「飛び出してます」

主任の鼻が。
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