約束-promise memory-





-凛 side-




「凛、行くぞ」


「うん」



柏木君は"壱"じゃない。


柏木君と向き合って話して、はっきり言ってくれた。


もう柏木君には迷惑はかけられない。




塁と、柏木君の元を離れようとした時。




「壱!!」




可愛い声で、"壱"と呼ぶ女の子がこっちに向かって走ってきた。


その子は、真っ白な"あの"制服を着て、髪飾りの可愛いリボンを揺らし、柏木君の前で止まった。




「若菜……!何でここに」


「今日は壱と一緒に病院に行きたくて、ここまで送ってもらいましたの」



柏木君は、目を見開いてその子を見ていた。



「あ……あの子」


「何?知り合い?」



塁が私にそう聞いた。



「ううん、知り合いじゃないんだけど。あの子、この間病院で見たの」


「病院?」



そうその子は、あの車イスのおばさんと一緒に居た、あの時の子。








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