いつまでも...未緒side【短編】
―10年前

「ただいま…」


学校から家に帰ると誰もいなくて
テーブルにあるお金で何かを買いに行くか
台所にあるものを適当に食べる。

これが私のあたりまえ。


母親は仕事。

父親は…見たことがない。


きっと母に嫌気がさして出て行ったんだと思う。


昔一度聞いてみたことがあったけれど
教えてはくれなかった。

大人になればわかる、と。


晩御飯を済ませてテレビを見ていると
いつもより少し遅い時間にカンカンと
マンションの階段を昇る音と、甲高い笑い声が聞こえてきた。

「またか…」


携帯と財布をもって玄関に向かった。


―――ガチャッ


「キャハハッ。やっだー!あら、未緒?出かけるの?」

お母さんはまた、見たことない男の人といた。


「ん。」


そう一言だけ答えて目も合わせずに階段を下りる。


隼人…来てくれるかな。
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