心の色
計画
 タケシは、エイズに発症し、
入院生活が始まると、
自分の死期が
近づいているのを
感じていました。
そして、タケシは死ぬ前に
カオリへ何かして
やれないか、
そう考えていました。
その結果、カオリに
角膜手術を受けさせ、
失明した目を再び
見えるように
蘇らせてあげたい、
そう考えたのです。
タケシは緻密に
計画を練りました。
すべては、タケシが
企てた計画なのです。
そして、父コウイチは、
和解してから、
毎日のように連絡を
取り合う程、
タケシにとって、
良き理解者でありました。
タケシが練った計画は、
どうしても、自分だけでなく、
協力者が必要でした。
タケシが計画の事を
コウイチに打ち明けると、
意外にも、この危険な
計画に、コウイチは
了承したのです。

二日前、心中を試みた
カオリとタケシですが、
カオリが飲まされていたのは、
一口で死んでしまう
ような薬ではなく、
ただの睡眠薬でした。
タケシは、いくら
ネットで調べても、
そんな恐ろしい
薬は見つからず、
知る由もありませんでした。
それに、タケシは、
元々、カオリを
死なせる気はなく、
睡眠薬という事を
承知でカオリに
飲ませていたのです。
カオリはその薬を
口にし、意識が薄れ、
深い眠りに
就いてしまったのを
死んだものと
思い込んだのです。
意識を失ったカオリを
確認すると、タケシは、
口の奥に忍ばせていた、
睡眠薬を
掃き出しました。
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