秘密の誘惑
「萌」


名前を呼ばれビクッとした瞬間に手からカップとソーサーが床に落ちた。


「あっ!も、申し訳ありませんっ」


パリンと小気味良い音をたてて割れてしまったカップを拾おうと屈んだ。



「萌、私がやる」


ディーンが言った時、萌はかけらを拾おうとしていた。


「っ・・・」


指に血がつーっと滲んできた。


「指を切ったじゃないか!」


「だ、これくらい大丈夫です」


怒っている風でもなくディーンが萌の腕を掴み立たせた。


そして血が流れている傷口を見てから水道水で洗い流す。


それからじっくり傷口を見ている。



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