秘密の誘惑
カウンターを離れようとした時、航空会社の社員が萌を呼び止めた。


「藤田様」


「はい?」


まだ何かあるのかと小首をかしげる。


「会社からお電話が入っております」


女性が受話器を差し出す。


「あ、はい ありがとうございます」


お礼を言ってから受話器を受け取る。



『萌? 私だ』


「支社長・・・」


『待っているからな?』


いつになく優しい声に聞こえた。


「・・・はい」


『良かった 逃げたのかと思ったぞ?』


「ち、違いますっ!」


あたしが逃げられるわけがない。


会いたいと思う気持ちはあたしの方が大きいに違いないのだから。



< 191 / 404 >

この作品をシェア

pagetop