秘密の誘惑
裕美は大量の書類のファイルをディーンの机に置いた。


「ありがとう 今晩は徹夜になりそうだ」


書類から顔を上げずに言う。



「ではお夕食の手配をしておきます」


同情の言葉を口にして裕美は一礼して部屋を出た。



戻るとパソコンに向かっていた萌が顔を上げた。



「今夜は徹夜になりそうだと言っていたわ」



自分の席について微笑みながら言う。



「支社長でも徹夜では終わらないかも知れませんね」


萌はクスッと笑った。



「あなたは早く帰りなさいね?顔色が悪いもの」



きれいにお化粧で目の下のくまは隠されていたが、顔色の悪さと疲れきったような顔は隠せない。



< 220 / 404 >

この作品をシェア

pagetop