秘密の誘惑
ディーンは病室へ入ると萌はブラインドの下がった窓の方を向いていた。



ドアが開く音にベッドの中の萌が身じろぐ。



病室はシーンと静まり返りディーンの歩くコツコツとした音が響いた。



「萌 寝ているのか?」



「い、いいえ」



涙を急いで拭いた跡に寝ている振りをしても起きている事は分かってしまうだろう。



「痛むのか?」



痛むのも確かだが、落ち込んで泣いていたのを見られたくなかった萌は首を左右に振った。



不意にハンカチが目に当てられた。



びっくりして萌は顔を上げた。


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