秘密の誘惑
「明日からが楽しみだ」


ぼそっと呟かれた言葉に俯いていた萌が「えっ?」と顔を上げた時、ディーンのポケットに入っているらしい携帯が鳴った。


ディーンは萌から目をそらさずにポケットから携帯を出すと出た。


「はい?」


日本語で出たのだが、すぐに英語に切り換えて話し始めた。


英会話程度なら不自由しない萌だが、ディーンの早口の英語には付いていけない。


どうやら仕事の話のようだが、萌の耳に聞こえてくるのは女性の声だった。


しかも親しげで楽しそう。


萌は下唇を噛むと窓の外に視線を移した。



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