秘密の誘惑
＊ ＊ ＊ ＊ ＊ ＊



萌との電話を切るとすぐに手の中の携帯電話が鳴った。


相手はタマラだった。



ディーンは仕方なく出る。



「なんの用だ？」



『叔父様が亡くなったと聞いたわ　これから戻るんでしょう？わたしも連れて行って欲しいの』



ディーン一族の所有する自家用機は贅沢で普通の飛行機とは比較にならない。



「他で帰ってくれないか」



『ディーン！わたしは貴方の妻だったのよ？葬儀に参列するわ　婚約者は行くのかしら？』



「いや　萌は体調が悪い」



『ならなおさら私が出席した方がいいわ　わたしは貴方の元妻なんだから』



一族のつながりが強いので、別れたとはいえ参列するのは当たり前の事だろう。



そう言われては了承するしかなかった。



出発する時刻を教え電話を切った。



長々とタマラと話している時間はなかった。



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