秘密の誘惑
「いやーーーっ!」


自分の叫び声にハッと目を開けた。



汗ばんだ身体を起こし思いっきり深呼吸をする。



自分がどこにいるのか一瞬分からないくらい動揺していた。



「っ・・・・は・・・・・」


夢・・・・・・。


心臓が痛いくらいにドキドキしている。


萌は胸に手を当てて服をぎゅっと掴む。



「すっごく嫌な夢・・・・・・」


ディーンがタマラとニューヨークに行ったからだ。


妙に生々しく、いつもは起きると忘れてしまう夢なのに鮮明に覚えている。


シーツの上の携帯電話を取ろうと手を伸ばす。


その伸ばした手は酷く震えていた。




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