秘密の誘惑
全く知らない番号だ。


「も、もしもし・・・・・・?」


知らない番号におそるおそる出る。


『萌さん?タマラよ』


「タマラさんっ!」


『心配でニューヨークへ来たって訳ね?』


電話の向こうで愉快そうな笑い声が聞こえる。


「・・・電話を切ります」


『ディーンの叔父様の自宅は知っていて?』


電話を切ろうとする手が止まる。


『今夜、親族らが集まる追悼会が埋葬した教会であるの 萌さんもいらしたら?』


「追悼会・・・・・・」


『そこでならディーンと話が出来るのではないかしら 8時にグリーンローン墓地よ』


「グリーンローン墓地・・・・・・」



全く知らない墓地の名前を忘れないように、机の上のホテルのメモ用紙に書きとめた。



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