秘密の誘惑
ギーギーギー!



「きゃっ!」



歩き始めて5分、薄気味悪い鳥の鳴き声に耳を塞ぐ。



「どうしてまだ早い時間なのに誰もいないのぉ・・・・・・でもいたらいたらで悪い人だったら怖いし」



少しの音や鳴き声でいちいちビクビクし、そのたびに心臓が暴れる。



「なんでバッグを持って出なかったんだろう・・・・・・」



それだけが悔やまれる。



バッグを持って出ていたら電話もかけられたのに。



自分がここにいる事は誰にも知られていない。



その時、古びた建物の前に黒人が数人いるのが見えて萌は物陰に隠れた。



怖いよ・・・・・・。



幽霊より生きている人間の方が怖い。



とりあえず明るくなるのを待とう。



萌は見つからないように座ると膝を抱えた。



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