秘密の誘惑
萌はあくびをかみ殺していた。


昼食を食べてからの2時間ほどは萌にとってつらい時間だ。



尋ねてこられれば案内できるので眠気は治まるのだが、誰一人来ない時もある。


そういう時はおおっぴらにあくびをする事は出来ないし、ただ眠気を我慢しわからないようにあくびをかみ殺すしかないのだ。


今日、支社長は出かけないのかな。


ビルを出入りする時に見つかってしまう確率は高い。


だけど支社長の言葉を鵜呑みにしちゃダメ・・・忙しいのにあたしを探しに部署を回るはずがない。


憧れて入社したけど、好きと言う気持ちなのか萌自身にもわからない。


確かに支社長はカッコいい。カッコいいというか、カッコ良過ぎる。千波兄のアメリカでの友人だった事に驚いたけど・・・。あたしの周りにはイケメンばかりだな~


萌が小さな溜息を吐くと隣に座っていた恭子に聞こえたらしい。


にらまれて萌は頭を少し下げた。



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