秘密の誘惑
萌を抱きしめたディーンの耳に「ごめんなさい」の言葉が聞こえてきた。



「萌」



胸に顔を埋める萌はディーンの反応を待ち、身を硬くした。



「萌のせいじゃない 萌の電話に気づかなかった俺のせいだよ」



ニューヨークへ来たと分かっていればこんな事にならなかった。



「でもっ、日本で待っていればこんな騒ぎにならなくて済んだのに・・・・・・」



「萌、自分を責めるのは止めるんだ 十分辛い目にあったんだ あのまま萌を失っていたら俺は一生自分を許せなかった」



ディーンの胸から顔を上げた萌は頬を濡らしていた。



その姿を見てディーンは胸が痛んだ。



「あんな場所に1人で・・・怖かっただろう」



「・・・1人だった時、一番会いたかったのはディーンだけだった・・・・・・」



「萌」



萌の頬に指を滑らせ涙を拭うとこの上なく優しくキスを落とす。



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