秘密の誘惑
「冴えない顔しているじゃない?」


食べていると絵美が言う。



「冴えないって・・・」


会社を辞めようかなと思っている事は彼女だけが知っている。



絵美に言わせれば綺麗な萌が受付嬢になるのはぴったりで、萌の容姿は羨ましいと言う。



そのうち、部署換えもあるよ。と言って慰めてくれているのだが、そんなのいつになったらあるの?と期待は出来ない。


「ねえ?知ってる?」


絵美が対面に座っている萌に顔を近づけた。


「何が・・・?」


「支社長がちょくちょくあちこちの部署に顔を出しているって噂」


「ゴホッ!ゴホゴホッ!」


驚いてコーヒーが気管の方へ流れた。


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