秘密の誘惑
「秘書課へ異動させてくれるのかと・・・思って来たのにっ!」


顔を上げた萌の瞳は潤んでいた。



そうよ 勝手に思い込んでいたのは自分のせいなのに。


ディーンに苛立ちをぶつけたくなった。


誰も異動の「い」の字も言っていない。


萌は声を上げて泣きたかった。



「萌、意味がわからない とにかく座ってくれないか?足を痛めているみたいに見える」


ディーンが萌の両腕を支え、先ほど座っていたソファに座らせた。


そして自分も萌の横に腰を下ろした。



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