【件名:ゴール裏にいます】
【件名:寂しいよ・・】

「おはようございます!」

週の初め月曜日。
会社に出勤した僕を待ち受けていたものは担当している二名の退職と言うものだった。

いつも通り定時の30分前に出勤し、一階の郵便受けを覗く。
郵便受けの中にはチラシが二枚。
どれも対して重要なものでは無かった。

エレベーターで四階のフロアに向かう。
僕の会社はそこにある。

エレベーターの扉が開くと同時にカードキーを取り出し、解錠の準備をしていた。
だが鍵は開いていた。

月曜日なら別段おかしくも何ともない事だった。

(部長でも来てるのかな?)

月曜日は支社長はこっちに出勤しない。
東京の本社で出勤し、先週の報告や会議等に出席する為だ。

代わりに部長が早くから出勤してくる事があった。
週初めのミーティングの資料をチェックするのに早出してくる。

僕はまだ電灯も点いていない部屋に「おはようございまーす」と言って入って行った。

蛍光灯のスイッチを入れ、デスクに雑巾をかけていく。

権田先輩のデスクに差し掛かる。
デスクの上には様々な資料やファイルが乱雑に積み重ねられていた。
僕は前に一度これを整理してこっぴどく叱られた経験がある。

「ああ見えても俺の中じゃきちんと整理されているんだよ!何がどこにあるかさっぱり分からねーじゃねーか!」

この時以来権田先輩のデスクに雑巾をかける事はしなくなった。

一通り雑巾がけも終わる頃、奥のドアがガチャリと開いた。

「おはようさん」

「おはようございます。町造(まちづくり)部長」

「まだ君一人か?まあ良い、ちょっと来てくれ」

僕は町造部長に促されるまま重役室へ入って行った。

「失礼します!」

「そこに掛けて」

僕は今から何が始まるのかと緊張した。
こんな事はよっぽどの事があるに違いなかった。

目の前に二つの白い封筒が差し出される。
二つの封筒にはどちらにも『退職願』と書かれてあった。

(誰だ?いつ受け取った?)

「二人ともA社に入れてた者だ。一人は篠原君、もう一人はよう子君だ」

「何でですか!篠原さんは土曜日に辞める意志が無い事を確認しています。よう子においては辞める理由等無いはずですが?」

(何故?どうして!)

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