白いジャージ5 ~先生とラベンダー畑~



俺は神田由利に手紙を書こうと思った。



俺は結婚したこと。


妻を愛していること。


そして、完全に教師として俺を見てくれているなら会いに来てと。



もしそうじゃないなら、俺は会えないと。




自意識過剰かなって思うけど、トラブルになる前にできることは全部しておこう。




金森がそれを教えてくれた。




俺は金森を心のどこかで信じていた。


信じる理由なんてどこにもないのに、教え子だということだけで、金森を信じたかったんだ。



でも、裏切られた。



俺がもっと早くにはっきりと強く金森に注意していれば、直にあんな涙を流させずに澄んだ。






卒業後に会いに来てくれる生徒は大勢いる。


それは教師としてとても幸せなことだし、心から嬉しい。




ただ、今回だけはちょっと違う。


何か嫌な予感がする。





このまま俺が何もせずに、神田由利を待っていたら、金森の時と同じになってしまう気がした。




< 268 / 358 >

この作品をシェア

pagetop