ツギハギの恋
あれから帰りのバスまでの事はよく覚えていない。

バスをおりて傘をさして歩く雨の音であたしはようやく正気を取り戻した。



ひなたは本当にいなくなっちゃったんだ……。



そう理解した途端、涙がボロボロと零れた。


何であたしを覚えてないの?

何でそんな再会になるの?

何で笑ってくれないの?




「……意味わかんない」


振り付ける雨の中、あたしは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら家に帰った。

玄関に濡れた傘を放置して急いで部屋に向かうと当たり前のようにひなたの姿はなかった。


もしかしたら……


心のどこかでまだ期待していた。

あたしを『ミリちゃん』って呼びながら笑うひなたはもういない。



「いなくならないでよ……」


ベッドに伏せてわんわん泣いた。



散々泣いて酸欠の頭でぼんやり思った。


きっと罰があたったんだ。


あたしがプーを忘れたみたく……


ひなたもあたしを忘れたんだ。
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